そして、春が来る。

春が美しいのは、歌のなかだけ。わたしの春はいつも辛かったり、切なかったりする。努力すれば必ず報われるとか、夢は叶えるためにあるとか、そういった類のことは信じられなくなって、「はて、それじゃあどうすればいい?」というところで、いつも立ち止まっている。一体何を目指して、どこまで、どれくらい、がんばればいいのだろう。一体、何が、生き続けるために必要なのか。何も、分からない。

それでも毎日のタスクは色々やってきて、今日も今日とて、トマス・アクィナス『君主の統治について』を読む。何かを、盲目的に強く信じたいと思う。キリストでも、イスラムの神でも、親鸞でも日蓮でも何でもいいから、何かを信じたい。この世で利益を得るためではなく、この切なさや苦しみを抱きしめて生きていけるように。わたしという主体を捨てて、全身で、信じたい。