随分久しぶりに、高校の同級生の夢を見た。目が覚めて、ぼんやり数えてみると亡くなって9年目で、明日は月命日なのだった。

彼の夢はたまに見るけれど、今朝の夢は本当に久しぶりで、「ああ懐かしい」と思えないほどリアルだった。表情とか、言葉づかいとか、とか。

そして、今朝の今朝まで、そんなこと考えたことは一度たりともなかったけれど、もし彼が今生きていたとして、わたしはきっと今の婚約者より彼を選ぶだろうと思う。婚約者に悪い、とは、微塵も思わない。

少し大人になった今なら、あのとき鼻についた、彼の自信過剰な感じや格好つけたがりのところを、笑って愛せるような気がする。でも、わたしは、あのとき許せなかった「わたし」自身もまた、容易に許せるのだ。だから、後悔はしない。ただ、時の流れと年齢という、如何ともしがたい残酷な何かに、ただ圧倒される。わたしの人生の主体はわたしでなく、時の流れに思われてくる。わたしが何かを知ったときには、すでにその「何か」はどこかへ遠くへ流れ去っている。