4月になって、日常を意思で取り戻すことにする。しかし、地震が明るみに出した色々な亀裂はちゃんと埋まるのだろうか、と少し心配。たとえば、原発が怖くて東京から逃げた人と、逃げなかった人逃げられなかった人との間の亀裂。何にせよ、今までどおり、にはゆかぬのだろう。

とりあえず美容院に行く。美容院は苦手なのだけど、ヘッドスパが無料期間なので、がんばって意思の力でいく。気持ち良かったが、終わってみればサイドが軽めのボブに、前髪の分け目は左右逆になっていた。まぁこれも新鮮でよいか、と気を取り直す。

自分のために、まじめにご飯を作る。地震後血液検査をしたら、なんと栄養失調すれすれだった。水道もガスも電気もないと、人間は簡単に栄養失調になるらしい。今日は鶏肉を甘辛に味付けして。

もしこの世の中で完全にひとりぼっちなら、わたしはたぶん、死ぬことを恐れないし、いつ死んでもいいと思うだろう、と思う。しかし現実には、わたしには父があり母があり妹があり祖母があり、そしてもう二度と会えなくともわたしのことをちらりと「元気かな」と思い出してくれる人がある。わたしが愛する人をわたしのために哀しませないように、だから死なないように、わたしはできる限り努力する。望めば、望まれれば、いつでも会えるように。